細やかな設計と施工が生む
シンプルを極めた住まい

窓が一つもない外観。中に入れば一変、明るく開放的な空間が広がっている。角田山を望むデッキとつながるリビング、すべてが隙のないシンプルで仕上げられている。

「シンプルな家に住みたい」と初めから方向性が定まっていたF夫妻。住宅展示場や完成見学会を巡り、数社とプランニングも進んでいたある日、キッチンのショールームでアーキトライブのチラシを見つけた。近々、完成見学会が催されるという。「センスのいいチラシだなと思って見学会に行ったんです。そうしたら、これまで見てきた家と何か、全然違ったんですね」。シンプルでかっこいい家はたくさん見てきたはず、と話すご主人。しかし、そのシンプルさが際立っていたという。「居ても立っても居られず、結局、翌日もう一度見学会場に行って『図面を引いてください』と中野さんにお願いしました」
「図面ができたのでお見せしたい」と指定された場所は、中野岳さんの自宅だった。「すごくいいプランでした。でもそれ以上に決め手になったのはご自宅。思わず『これと同じ家をください』って言ってました（笑）」。2階にLDK、つながるように広がるデッキ。完成したF邸にも、確かに中野邸と同じ要素が見られる。ただしそれも敷地との関係があって初めて成り立つもの。F邸の予定地は左右に住宅が密接し、駅のホームがすぐ裏側にあった。一方、前面には道路があり、田園の向こうに角田山が見える。「Fさんからの要望はインナーガレージとデッキ。唯一、抜けのいい方角にガレージを設け、その上にデッキを置けば、すべてがうまく収まると考えました」と中野さん。敷地の条件と住み手の要望がうまく合致して、プランは確定した。