緑の中の家に眺めのいい大空間

広がりと天井高を求めて始まった家づくり。可能にしたのはSE構法だった。そこに極上の眺めと邸宅感を生み出したデザインが美しく融け合っている。

　「大空間が欲しい」。市嶋さんの家づくりは、ここから出発した。住宅展示場をいくつも見て回り、良さそうだと思ったハウスメーカー３社にプランと見積もりを依頼、その中の１社と契約しようとしていたという。しかし市嶋さんには気になっているビルダーがあった。星野建築事務所だ。Ｓ・Ｈ・Ｓ鳥屋野店の一角にショールームを見かけて以来、ずっと引っかかっていたが、「デザインにこだわっているだけにコストもかかりそう」と、少々敷居が高く感じられていたという。「でも最後に『やっぱり話だけ聞いてみたい』と妻に頼んで二人で行ったんです」
　向かったのは新潟市秋葉区にあるケーススタディハウス。邸内をめぐりながら星野貴行さんと話をする中で、同社がデザインと確かな工法を両立させていること、本当の意味でのオーダーメイドで家をつくっているということ、そして気になっていたコストもハウスメーカーと比べて決して高くないと聞き、プランをお願いすることになった。図面を見て驚いたのが、眺めを取り入れた大胆なデザインと望み通りの大空間だったという。市嶋さんは「梁や柱を見せたくない」と要望していたが、他社のプランでは限界があった。そして「眺めを取り込む」という発想自体がなかったものだった。「ハウスメーカーとプランニングを繰り返していたので、星野さんのプランがまるで違うこと、大空間が実現できることがすぐ分かりました」。市嶋さんは、その場で心を決め、依頼したという。決め手は「思い描いていた家ができる」という確信だった。