住まいnet新潟 vol.21 (P76〜)掲載情報

roomz(株)星野建築事務所

重厚な素材と軽やかな構造が一つに

「SE構法」ありき、で始まった家づくり。重厚感あふれる素材を使いつつ
一面が窓となった大空間は、工法の自由度が、最大限にいかされている。


 「広がりのある大開口のリビングが欲しい」。出発点はここだった。打ち合わせを進める中で、加えられた具体的なイメージは2つ。一つには高低差を設けること。もう一つには外とつながること。「海外の家だったと思うんですが、床を一段低くして、ソファを埋め込んでいる写真を見たんです。いいなと思って伝えた覚えがあります」と振り返るSさん。さらに「親子で並んで読書や学習ができる場所が欲しい」という要望も踏まえて、一段高いところに書斎スペースを設ける現在の形が導かれた。壁面には本や思い出の品が置かれ、カウンターにはパソコン。時には本を開いたままのこともあるが、手元も足元も、リビングからはまったく見えない。「ここに限らず、見せたいところと隠したいところが適切に分けられている。そのために取られた方法にとても満足しています」とSさん。たとえば冷蔵庫を隠しつつ置くレイアウト、キッチンには大きなパントリー、デザイン性を備えた造作家具。星野さんによれば「すっきり見せるためには、見えない裏側をいかに確保し、効果的な場所に置くことが肝心」。S邸では、キッチンの裏側に水まわりを集めているが、効率の良い家事動線も、それとは見えないようにうまく隠されている。

 さて、広いリビングに求められたもう一つの要素「外とのつながり」も印象的だ。LDKの壁一面が開口部になり、奥行きのあるテラスはまるでアウトサイドリビング。庭の木々が育ち、葉を茂らせれば、緑に面した空間になるだろう。この広がりと大開口を、柱で区切ることなく可能にした上で、最高位の耐震等級3を取得しているのは、Sさんが積極的に選んだSE構法の力であることは間違いない。さらにS邸ではそこに、星野さんなりのイメージが重ねられた。曰く「水平の屋根が浮いているイメージ」。道路から見れば分かるだろう。ガラスの壁の上に、大きく張り出した屋根が浮いて見える。「希望された素材が、石やタイルといった重厚感のあるものだったので、あえて構造を軽く見せてバランスをとった」。大開口といっても、ここでは開放感だけを与えるのではない。眺め、居心地、軽さを生む構造体と、さまざまな役割が織り込まれている。そんな星野さんの設計についてSさんは「私たちが求める好みと住みやすさを高度に理解し、形にしていただいた」と言う。そしてその結果が「素敵な空間はイメージ通りですが、住んだ実感はそれ以上」という満足を生んだ。

玄関を入るとこの風景。ホールの左にはガラス戸を隔ててLDK。正面の壁を右から回るとキッチンにつながり、こちらからもLDKに行くことができる

LDKの一角には、正面、数段上ったところに書斎コーナー。こちらに対面してカウンターが設けられているが、高さがある上、壁も立ち上げているため、手元はまったく見えない

壁一面が開口部になったLDK。奥行1800mmのテラスは、ガラスを介してフラットにしている上、床は室内と同じタイルを使っているため、いっそうつながりが感じられる

正面のTV裏は外壁やLDKの床と同じタイルを採用。格子の天井は、星野さん曰く「格子を途切れさせないために」同じ幅の照明を組み込んでいる

キッチンは、右手の壁によって入り口からの視線が遮られている。背面の戸を開けると収納スペース。冷蔵庫は左手脇、見えないところにスペースを確保

LDKの一角にある書斎コーナー。壁面いっぱいに棚を造り付け、LDKに面してカウンターを設置

キッチンの裏側にまとめられた水まわり。オリジナルで製作した棚に洗面ボウルを置いて

道路から、あえてセットバックさせた建物。庭とテラスを隔てて遠目に見るLDKは贅沢な感じを抱かせる

ビルダー情報

会社名 roomz(株)星野建築事務所
代表者名 代表 星野 貴行
建築業許可番号 建設業許可/新潟県知事登録(般-29)第26092号、一級建築士事務所/新潟県知事登録(ハ)第4457号
所在地 〒9518008 新潟県新潟市中央区窪田町2-116
電話番号 025-229-2302 FAX番号 025-229-2303
営業時間 定休日
設立 平成2年6月 資本金 1,000万
業務内容 住宅設計・商業店舗設計・施工・監理
取扱い工法 SE構法、木造在来軸組工法、鉄骨工法、RC工法
価格の目安 平均的坪単価 40〜80万円未満
アフター保証 SE構法住宅性能保証(最長20年)、瑕疵担保保証保険加盟
取扱いエリア
取扱い坪単価 施工実績 年間10棟
ホームページ http://www.roomz.jp
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