吹き抜けの中庭を
囲んでつながる住まい

こげ茶のガルバリウムの箱に木製ルーバーがアクセントを添える外観。室内に入ると、中庭が部屋をつなぎ隅々まで光と風を呼び込んでいる。

「陽街（はるまち）の住宅祭には参加しないんですか？」。清水裕一社長の元に入った1本の電話が始まりだった。相手は、グリーンハウスシミズの完成見学会に2回訪れたことのあるSさん。Sさん曰く、家を建てたいと思っていたエリアが整地され始め、そこで住宅祭が開催されることを知り、気になっていた同社に電話を入れたのだと言う。「もし陽街にモデルハウスを出展するなら、展示後、そこに住みたい」とSさんは気持ちを伝えた。実のところ、出展するかどうか迷っていた清水さんだったが、その電話で心を決めたという。そして「一緒に参加しましょう」とSさんに持ちかけた。
Sさんがグリーンハウスシミズを選んだのは「イメージに近い家をつくってくれる、そんな確信に近いものがあったから」だという。たった2棟だったが、実際に建てた家の雰囲気や細部へのこだわりを見て、ありきたりでない家をつくってくれそうだと思ったのだ。そして決め手は、清水さんの熱意。「話せば話すほど、本当に家づくりが好きなんだと思った。そしてこういう人なら任せられる、と思えた」。住宅祭には大手ハウスメーカーや地元のビルダー合計三十数社が出展。それぞれが自社の設計力や施工力を表現し合う。「プレッシャーもありましたが、モデルハウスとしてもSさんの住まいとしても最高レベルのものをつくろうと思いました」と清水さん。これが着工の2ヶ月前のこと。二人は、猛スピードでプランづくりに着手した。