光を楽しみ、光を生かす。
自然と共にある暮らし

　住宅地にありながら、絶妙な家の配置によって、南西からの日差しがさんさんと注ぐH邸。木目が美しい道南杉の玄関扉を開くと、光に包まれた爽やかな空間が迎えてくれた。新築特有の匂いがしないのは、床材の表面を米ぬか塗料で仕上げているから。H夫妻が引っ越したばかりの新居は、奥さまが育った実家の隣に立つ。
　「家づくりにあたって大切にしたのは、太陽の光が感じられる明るい空間と、家族が集う壁のない間取りでした」と奥さまはプランづくりをふり返る。映像関連の仕事に就くご主人は、落ち着きのある書斎と、屋根裏の気配が感じられるロフト、LDKのどこからでもテレビが見られる間取りを希望した。壁で仕切ることなくLDKをひとまとまりにした1階フロアには、吹き抜けの大きな窓から部屋の奥まで光が注ぐ。リビングと並ぶとっておきの場所に、階段とユーティリティーが備わっていることもH邸の特徴だ。「自然光を浴びながら朝の身支度がしたくて、日当たりの良い場所に洗面所を配しました。室内干しの洗濯物もすぐに乾きます」と話す奥さまにとって、バスルーム、洗濯室を兼ねたユーティリティーはお気に入りの場所だ。家の中心ともいえる贅沢な場所に設けられた階段は、吹き抜けとスケルトンとの相乗効果でシンボリックな空間に仕上がった。階段の踊り場でさえもつい腰掛けたくなってしまう、そんな居心地の良い場所が家のそこかしこにある。　……続きは誌面でどうぞ