和の心を揺さぶる美の世界観
数寄屋スタイルの平屋

近年、生活様式の欧米化が進み、日本古来のスタイルが失われつつあります。住宅もしかり。でも、靴を脱ぎ床上で寛ぎ、畳の肌触りに癒される、昔ながらの習慣は変わらないのではないでしょうか。私たち日本人の心が落ち着く数奇屋づくりの家は、凛とした佇まいです。

セカンドライフを豊かな人生にするために、離れをつくることがあります。Nさんもその一人。日々の生活はこれまで通り立派な本格純和風の母屋で過ごすため、離れに必要なのはリビングと和室だけのごくごくシンプルな間取り。そこにこだわりをぎゅっとつめました。
家づくりを手がけたシロヤマ建設は、内面の清らかさでおもてなしをする茶人の心を反映した、簡素ながらも格調の高い数寄屋造りを得意とする職人集団。コンパクトな建物の中に、洗練された技が密に詰まっています。平屋であっても単調にならないよう、外観は日本瓦と銅版一文字葺の二段屋根。外壁も重厚感と深みのある、リシン掻き落とし仕上げ。太い丸太梁と丸太柱に支えられた深い軒に守られ、室内にはよりいっそう静けさと安心感がもたらされます。
玄関ホールは、傾斜のある船底天井と自然石乱張り仕上げ。サクラの無垢材で作られた腰掛板は、靴を履いたり気軽におしゃべりを楽しむために腰を下ろすのにとても便利です。二段屋根の高さを利用した吹き抜けのあるリビングは、開放感たっぷり。ひのきの腰板や無垢杉板の天井、杉の一枚板を使用したオリジナル建具など、自然木材をふんだんに利用するのは、製材も手がける同社にとって当たり前のこと。住まう人の健康を考え、安心できる素材を厳選し、風流さを現代にマッチングさせた数寄屋造りの離れは、Nさんの心を癒す空間になりました。