暮らしに寄り添う“機能美”の家

東京都世田谷区の閑静な住宅街に、ひときわ目を惹く瀟洒な邸宅がある。それが、昨年11月に完成したY邸だ。勾配を大きくとった片流れの屋根と、ブラック＆シルバーのガルバリウム鋼板で構成されたファサードは実にスタイリッシュ。レッドシダーのフェンスが醸し出す、ほどよいぬくもりもいい。そんな洗練と温かみを兼ね備えたわが家を前にして、施主のYさんは「新居に遊びに来た友人が最初に褒めてくれるのがこの外観なんです。私自身、個性がありながらも悪目立ちすることなく、周囲の景色に溶け込んでいるこのデザインをとても気に入っています」と語ってくれた。
Y邸を手がけたのは、グッドデザイン賞の受賞や社員大工を育成する「内製化システム」で知られる平成建設。同社設計部の角田充さんに設計のポイントを聞くと、「Y邸が建つ地域は風致地区に指定されているため、住宅を建てる際は隣地からの壁面後退距離が1.5m以上必要となります。さらに、駐車場は2台分欲しいということでしたので、これらの条件とデザイン性、居住性が共存するプランを考えたところ、自然と現状のようなデザインになりました」とのこと。Y邸はまさに“機能美”を体現した家といえるだろう。