上質な家と、住む人と
まとう空気はとけあって

独創的な姿かたちと、のびやかなスケール感をもって建つH邸。その佇まいは豊かな風格を漂わせながらも、とても自然に、穏やかに、木立の茂る周囲の風景となじんでいます。
ご夫婦からの要望は、主に全体の空気感について。イメージは抽象的ですが趣向にぶれない芯があり、設計者は求められているものをすんなりとくみ取ることができたそうです。「私たちが提供したいのは、住む人の好みに偏った家にならない、住む人に『似合う』家」、と話すのはフォルム設計の社長。「だから今日玄関で奥さまが迎えてくれた瞬間に、『OK！』と思って。奥さまの雰囲気と家とがまさにしっくりと感じられ、大変うれしかったです」。
リビングの端から端まで、ほぼ全面に広がるガラス窓。長大な開口部に柱は1本もなく、視界はさえぎられることなくのびのびと外へ抜けていきます。「とにかく大きな窓。ここだけは譲れない」というご主人の強い思いを設計者がしっかり受け止め、構造を工夫して見事に思い描いたとおりの形を実現してみせました。
室内はオーク材と珪藻土、タイルを用い、ぬくもりある北欧の雰囲気に。上質な素材はこの先住むほどに味わいを増し、家族の暮らしにいっそう心地よくなじんでいくでしょう。要所には細やかな設計デザインの技法がしのばせてあり、飾らない素朴な佇まいでありながら、なんとも洗練された空間がつくられています。