暮らしを愉しみ、
人生に寄り添う家

自分の時間を愉しむために建てられた家。なんとも贅沢な空間は、しかし、やがて訪れる人生の変化を見通して、まだ見ぬ家族を迎える準備も兼ね備えている。

「風通しが良く、光があふれる家」。Hさんの希望はいたって明快なものだった。家を建てようと思い立ち、いくつかの完成見学会を見て回ったが、どれもピンとこない。「過剰な造作や装飾のない、シンプルでおしゃれな家が欲しかったんですよ」
そんな時、ふと目にしたのが、他ならぬ『住まいnet新潟』12号に掲載された「多面体の家」。K.DESIGN HOUSE／桐生建設の桐生和典さんの設計によるモデルハウスだ。窓が一つしかないユニークな外観とは裏腹に、風が吹き抜けるような開放感あふれる居住空間に一目ぼれ。さっそくホームページを見てみると、コンセプトに掲げられた「シンプルライフ」という言葉に、目の前の霧が晴れたように感じた。「自分の探していたものはこれだ！」と、即座に電話を入れたという。「そこからは、早かったですね」と桐生さんは笑う。最初に提示したプランから大きな変更もなく、トントン拍子に話は進んだ。
映画が好きで、洋服やインテリアにもこだわりを持つHさんは、実はまだ独身だ。「次男だし、仕事も落ち着いてきたので、実家を出ようと思ったんですが、それならアパートを探すより家を建てようかなと思って」と屈託なく微笑む。「最初の打ち合わせでは、『奥さまはお仕事ですか？』なんて聞いちゃったんだよね」と桐生さん。自分の好きなものを大切にし、自分だけの時間を楽しむために家を建てる。それは、うらやましいほどに贅沢な選択だ。