住まいnet新潟 vol.20 (P66〜)掲載情報

(有)平澤建築事務所

木工家の暮らしと創作を支える住まい

木工家が家に求めたのは、未完成であること、そしてきれいな空気がめぐること。
ビルダーと作家が一緒になり、家族の暮らしと創作を支える「器」ができあがった。

 ガルバリウム鋼板と木を組み合わせた外観。屋根から伸びる煙突が、薪ストーブの存在を伝えている。コンクリートの階段を上り、富井さんが製作した無垢の木のドアを開けると、自然素材の空間が広がっていた。「物を置いて映えるように。自分たちの色をつけていけるように」。そう希望した室内は、木工でいえば「生地のまま」、そして「無垢」でまとめられた。床は、何も塗らずに引き渡してもらったヒノキ。壁は富井さんの意向でドイツ製の塗り壁の下地。「自分たちで塗ろうと思っていましたが、子どもたちがまだまだ汚すから、大きくなってからでいいかなと」。一方、ヒノキの床は、富井夫妻がソープフィニッシュで仕上げた。オイルフィニッシュよりも汚れはつきやすいが、汚れは自然と浮き上がって取りやすく、時間が経っても黄変しないという。「知人がつくってくれた真っ赤な羊毛のラグがぴったりでした」。確かに、ソープフィニッシュの床は、淀みない色や素材に似合う。もっといえば、フィルターを通した涼温な家の清らかで透明な空気とも、とても相性がいい。

 さて、「つくり込まないでほしい」そんな要望を受けた平澤建築事務所は、どう家づくりにあたったのか。平澤社長は言う。
「一緒にチームを組んでプロジェクトをやり遂げた感じです。富井さんのイメージがはっきりしていたので、求める空気感に応じて、使ったことのない素材を探したり、施工にも工夫を施したり。楽しかったですね」。たとえば戸を受け止める戸当たりは、厚みを隠して見える部分をごく薄くしたり、巾木は入り巾木にしたり。さらに棚板は「合板は使いたくない」という希望に応じて、芯材の両側に無垢板を合わせて造作。すべて手間も時間もかかるが、繊細な仕事で、家族の暮らしや富井さんの作品を受け入れる「土台」をつくりあげた。

L字型のLDK。ダイニングスペースは薪ストーブのあるリビングとキッチンの中間にある。ペンダント照明のシェードは富井さんの木工作品

ソープフィニッシュで仕上げたヒノキの床、塗り壁の下地材を張った壁という「完成されていない」空間に富井さんや他の作家の家具が映える。ソープフィニッシュは、富井さんがカナダで個展をした会場で使われていた手法で、夫妻で溶液を作って塗ったという

リビングの一角には薪ストーブ。ストーブ周りと玄関は、モルタルを指定

薪ストーブはベルギー製。涼温な家は、冬でもエアコン1台で快適だが、ストーブのある生活とさらなる暖かさを求めて導入

      ステンレス台を置いただけのシンプルなキッチン

部屋を区切る建具などもない状態で引き渡してもらったという。「生地のまま」の空間が美しい

      2階にある書斎スペース。壁際には作品を並べて

外断熱のおかげで工房の中も涼しい

ビルダー情報

会社名 (有)平澤建築事務所
代表者名 代表取締役 平澤 政利
建築業許可番号 業者登録/新潟県知事許可(般-27) 第39995号 、 一級建築士事務所/登録新潟県知事(ニ)第3745
所在地 〒9500211 新潟県新潟市江南区横越川根町4-9-1
電話番号 025-385-4210 FAX番号 025-385-4046
営業時間 定休日   
設立 2000年 資本金 500万円
業務内容
取扱い工法 木造軸組・TIP構法、外断熱・新換気システム、外断熱防蟻MP工法耐圧盤基礎
価格の目安 平均的坪単価 60〜80万円未満
アフター保証 瑕疵担保保証保険加盟
取扱いエリア
取扱い坪単価 施工実績
ホームページ http://www.hirasawa-arc.com
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