セカンドライフは山を見晴らす場所で

ずっと都会暮らしだった夫婦二人が定年後を過ごすのに、駒ヶ岳と御嶽を仰ぐ山里を選んだ。
心地よくしかも無駄なく、地域の人と触れ合いながら——。
そんな毎日を、木曽の木を使い木曽の職人の手によるOMソーラーの家で夫妻は送ろうとしている。

　この家には名前がある。KOMATAKESOという。漢字にすると駒嶽荘。木曽町の日当りのいい山里にあって、木曽駒ヶ岳と御嶽を見晴らせるからだ。白川次郎・正子夫妻が過ごした武相荘にあやかり、この邸の奥様が名付けた。
　日頃は名古屋で暮らすM夫妻が、自分たちの将来を見据えた住まいづくりを考え始めたのは10年前のことだ。都会暮らしは便利だが、年をとってからは思いのほか寂しいものである。大好きな山を日がな一日眺められて、土地に溶け込みながら、ゆっくり過ごしたい、そう考えた。
　OMソーラーでつくることも決めていた。初期投資が多少増えても、自然のエネルギーを上手に使うことで、ランニングコストを気にすることなく第二の人生を楽しみたかったからだ。場所の候補には、はじめ安曇野や駒ヶ根が挙がったが、息子さんが木曽町にある長野県林業大学校へ入学したのを機に、夫妻も幾度か木曽を訪れるようになると、次第に土地のよさに惹かれていった。そして、いちばん身近でOMソーラーができるビルダーとして村上工務店と出合った。社長は若くて誠実で全幅の信頼がおけたし、木曽の木を使い、木曽の職人さんの手による家に暮らせることが何よりうれしかった。