コンパクトな家に実現した、大きな感動空間

リンゴの淡いピンク色のつぼみが、やがて一面の白い花へと変わった2012年の春。Yさんご夫妻は、誕生したばかりの蒼依（あおい）ちゃんとともに、小布施のリンゴ畑に囲まれ、ご主人の実家に隣接するこの家で、新しい暮らしをスタートした。「仕事から帰ってくるのが楽しくてしかたがない。この家で家族と過ごす時間は、私にとって一番リラックスできるとき」とご主人。今はまだお子さんが小さいこともあるが、「外出するより家にいるほうがずっと楽しい」と、暮らし始めて早々に〝巣ごもり〟を宣言した。
Yさんがおっしゃるように、この家に一歩入ると、無垢の木が放つ香りとともに、どこかホッとするような安堵感に包まれる。Yさんご家族にとって、この家がもっとも安らげる場所であり、蒼依ちゃんを大切に育てていく〝鳥の巣〟のような存在であることがうなずける。
長野市街でアパート暮らしをしていたご夫妻は、実は結婚前からご主人の実家の敷地に家を建てようと決めており、イマイ企画に相談していたという。そして蒼依ちゃんが生まれることを知り、のびのび子育てできる環境が必要と、家づくりが本格化した。しかしいざ建てるとなると、この地域は小布施町の「景観形成重点地域」に指定され、屋根や外壁の形状や色彩、高さや規模に基準が設けられ、実にさまざまな制約があった。「かえってこうした制約が幸いしたような家になりました」とYさん。