スウィート10マイホーム
ガレージのある家

　その物語には幸せな結末が待っていた。
　今春マイホームの念願を叶えたT家。しかし、その過程は順風ではなかった。
　8年前より、T夫婦は子供の就学前に新築したいと住宅会社を廻りはじめた。「かなりの会社に私たちの個人情報が残ってます（苦笑）。土地情報も不動産屋さん並に握っていた。でも、私たちの想う家とまともに向き合い考えてくれたビルダーとは出会えなかった」と奥さま。バイクが趣味のご主人は「ガレージ付きの家」を夢見ていた。それも「リビングからガレージを眺められる」という条件付き。そのイメージと家の隅々まで深いこだわりを理解し、予算でも折り合いがついた会社は皆無だったという。
　長女が小学校入学。校区外に新築する線は消えた。住まいのある一帯は人気の住宅地。空き地が出る可能性は殆どなかった。「妥協して建てた家には意味がない。借家で仕方ないか…」と考えるようになったという。
　クライマックスは突然やってきた。昨春、近所に空き地ができたと聞きつけて訪れると理想の土地だった。「ここに建てられたら…まるで夢だよね」と夫婦で語り合った。