シンプルで頑丈な「質実剛健」ヒノキの家

流行が移り変わって、廃れていくスタイルがある。数年で買い替えるファッションや家電を選ぶなら、それでもいいのかもしれない。でも、住まいは家族にとっての一生モノ。一時的な感覚や思いつきだけで選んでしまうと、将来の後悔にもつながりかねない。古民家風のデザインを意識したN邸。流行に左右されることなく、時代を超えて愛されてきた日本の伝統様式である。そこに、現代の感覚や技術、高性能が加わり、スタイリッシュで快適なモダン古民家に仕上がった。

白壁と腰板のコントラストが印象的な古民家風の外観。伝統様式でありながら、懐かしさや落ち着きに加えて、どこか新鮮で現代的な印象を抱かせるから不思議だ。シンプルを極めた日本建築の機能美は、いつの時代にも魅力が色あせないのだろう。陳腐化や劣化していくのではなく、むしろ時を重ねるほどに趣や味わいを深める家なのだ。
白い塗り壁とダークブラウンの床や建具で仕上げられた室内には、奥様が選んだというモザイクタイルやスタイリッシュな照明をコーディネート。情緒あふれる和のインテリアシーンに、さりげない彩と遊び心をプラスしている。最近の主流になっているLDKではなく、あえてリビングとダイニングキッチンを分離。寝室は、リビングに接した和室で布団を上げ下げするスタイルが採用された。流行や常識ではなく、住む人の個性や暮らしに合わせて必然的に生まれたデザインや間取りなのだ。家づくりとは、本来そうあるべきなのだろう。