縦横無尽に暮らしを広げる5つのスキップフロア

勾配天井の下につながる大空間。視覚的な広がりを感じさせながら、程よくプライバシーも保たれる。適材適所の収納や回遊性のあるスムーズな動線も、この家ならではの魅力といえるだろう。5つのスキップフロアで構成されたT邸。平面にとらわれない自由な発想で生まれた使い勝手や楽しさは、体感してこそ本当の魅力が伝わるのかもしれない。

間取りは、平面で考える。そんな常識から少し発想を広げると、思いがけない魅力的な空間が生まれることもある。たとえば、スキップフロア。段差を利用した収納や趣味の小部屋、立体に平面にと回遊性のある動線、それに視覚的な広がりや面白さ。5つの階層を効果的につなげたT邸は、スキップフロアの特徴を最大限に活かした住まいといえるだろう。
「できるだけたっぷりの収納がほしい」。そんな要望に対して、外部収納や小屋裏収納、LDKの一角にある和室下のリビング収納などが計画された。もちろん、必要な部屋数を削ってしまったら意味がない。また、使いやすい場所にあってこそ、はじめてモノが片付く実用的な収納になる。床面積以外に21畳も設けられた適材適所の収納スペースは、部屋と収納が同時にとれるスキップフロアにしかできない空間活用だ。
床レベルを変えることで、スムーズな動線や視覚的な広がりも生まれた。半階の昇り降りで上下階への移動が可能なため、家事の負担も大きく軽減。住まいの中心に位置するLDKは、水まわりや寝室など各フロアと最短距離で結ばれた。勾配天井の下に家中がつながっている大空間。プライバシーを確保しながら、常に家族の気配が感じられるのも、この家ならではの魅力といえよう。