小さく建てて、大きく暮らす。
シンプルを極めた合理的な家。

奥行８m×間口６mという建物のサイズから、「ハチロク」というユニークな名前がつけられた規格住宅。延面積96㎡ながら、意外にもゆったりと感じられる。決して大きくはない空間にどれだけ広がりをもたせ、楽しい雰囲気を演出できるか。設計デザインの見せどころである。
この８×６サイズはインゾーネが提案するコンパクト住宅で、もっとも合理的だという。資材にムダが出ることなく、同じ面積の住宅と比べてコストが抑えられ、性能面でも強度がアップする。信頼できる骨格があってこそ、インテリアも自在に花を咲かせることができるのだ。
また、インゾーネはこうも考える。住まいづくりと同じぐらい、あるいはそれ以上に、趣味や知的好奇心を大切にしてほしい。それでこそ、精神が満たされ、生きる充足感が得られるのだと。家は生涯最大の買い物といわれるだけに、ともすれば人生におけるいちばんの目標と思われがちである。ところが、冷静に考えてみると、家は豊かに暮らすための手段であり、人生の目的ではないはずだ。マイホーム取得に全力を注ぐあまり、ほかのことにきゅうくつが生じるのは、本末転倒というものだ。