先鋭的なスタイルと
快適な空間のハーモニー

まるでアートミュージアムのように美しいFさんの住まいは、その感性に呼応した建築家の卓越したデザインセンスも光る、優れた建築です。しかし、スタイリッシュなその見かけ以上に、Fさん家族の暮らしやすさが重視されている点も見逃せません。信頼関係の構築によって、調和のとれた個性的な住まいが生まれました。


やわらかさと重厚感、二面性を持つ独特のフォルム

　揖斐川河畔にほど近い大垣市郊外の田園地帯に、思わず目が吸い寄せられるFさんの住まいがあります。西側から見ると、それは大きな箱。と言っても素っ気ないものではなく、清々しさすら感じられる白い壁、中央に大きく切り取られた開口と十字の格子、角の部分の滑らかなカーブなど、クールな中にもどこか優しさや親しみを覚えるデザインが印象的です。しかし、東側に回ってみるとその雰囲気は一変。木と石風のタイルを組み合わせた外壁はなかなかの重厚感で、きりりとしたダンディな顔つき。南欧あたりのヴィラと現代美術のミュージアムを融合したような個性的な外観に、訪れる人はわくわくするに違いありません。
　中に入るとようやくこの建物が住まいであることに気付きますが、邸内もまた魅力にあふれています。ホールのような広々としたLDKは、高い吹き抜けと大きな窓によって開放感が抜群。遠くにはどっしりとした伊吹山が見え、窓を額縁にした一枚の絵のようです。その大きな窓と外壁の間に設けられているのは、中庭のようなダウンリビング状のプライベートデッキデッキ。ホームパーティーにうってつけの空間で、白い壁にプロジェクターで映像を投影すればミニシアターにも早変わり。このほか、広めにとられた階段の踊り場、リビングを見下ろす2階のワークスペース、ゆったりした各個室やバスルームなど、どこを切り取ってもライフらしい洗練された感性が窺えます。　……続きは誌面でどうぞ