家づくりの目的は何なのか？
築くのは家ではなく、家族の絆。

自分が家を建てるなら…。そう考えたとき、「誰のため、何のために家を建てるのか」ということを明確にしなければならない。今回紹介するS邸のご主人は「家族と一緒に過ごす時間や会話など、コミュニケーションが家族の絆を深めると信じています」と話す。この思いがS さんご家族の家づくりの軸になった。玄関前で迎える家族みんなの手形が、ご主人の思いとこの家のコンセプトをよく表している。玄関を開けると笑顔でご主人と奥さまが出迎えてくれた。はにかみながら奥さまの後ろから子どもたちがあいさつ。仲良く並んだ手形のイメージ同様、幸せそうだ。
家の間取りは3LDK。吹き抜けのリビングダイニングキッチンは南側に大きく窓を取り、昼間は照明なしでも十分に明るい。リビングを通って2階に上がるように階段を設けたほか、子ども部屋の壁を一部開放しているのは、子どもたちの存在をいつでも感じていたいというご夫妻の思いから。「見てもらったら分かるようにリビングダイニングキッチンもそこまで広くないんです。近くにいつも家族を感じながら生活ができる距離感を大切にしたくて」とご主人。「子どもたちが2階にいても、何をしているのか大体分かりますね。上の子が宿題をやるときはいつもキッチン前のカウンターで。2階の勉強机の意味がないですが（笑）。でも、子どもの存在をいつでも感じられる環境はとても暮らしやすい。普段は合宿所みたいに賑やかなんですよ」と奥さまが続ける。家族間のコミュニケーションを大切にするご夫妻らしいエピソードだ。