和と洋がバランスよく溶け込んだ、
7人家族の家。

久留米の静かな場所に、新しい一軒家が産声をあげようとしていた。H邸の計画は、2010年の年末までさかのぼる。転勤族のご主人と書道教室を営む奥さまは、約5年前の久留米転勤を機にご主人の実家に居を移した。昔ながらの広い日本家屋に2世帯で暮らしていたが、5人の子ども達が大きくなってきて、さすがの広いお家も少し手狭になってきた。そこで、ご夫妻がビルダーに選んだのは、地場で設計も施工も任せられる〈ウッドライトカンパニー〉の若林さんだった。
若林さんに、H邸に関して尋ねると、「本家の隣に建てるということで、土地の広さは決まっていました。最初は、小さく建てようかというお話でしたが、やっぱり打合せを重ねていくにつれ、子ども達の部屋もきちんと確保してあげたいからと、70坪の土地をギリギリまで使うことに。専門的な話ですが、通常家を作るときには、基準となる長さ（モジュール）は１種類ですが、こちらはご家族も多いし、空間に求められる機能もたくさんありましたので2種類のモジュールを使って設計しました。設計する側としてはちょっと大変なんですけど、そうしないと収まらなかったし、そうすることで部屋にゆとりを出せるんです」。この家のクリアすべき最大の課題は、広さと収納と空間効率だった。
パッと見たときのデザインテイストはご家族の希望で洋風に。だけど引き戸や漆喰壁など、和の要素もふんだんに取り入れられている。これは、「使い勝手を考えたら、今まで使い慣れたご実家の扉使いに近い方がいいだろう」という若林さんの優しさから。ご家族のリクエストを受け入れながら、より使いやすい形へと昇華するのが若林さん流。