人が集い、笑う。木の家に帰ろう

　大人になって初めて使う言葉「実家」。それはどんな存在だろう。自分が育った場所、両親の住む家。季節の折々にふと浮かぶ親の姿は、いつも実家が背景となっている。この土間のある木の家は「実家＝集う場所」が設計コンセプト。子ども、孫、そして同じ場所で暮らす近所の仲間。散歩の姿を見かけて声をかけ、土間の小上がりに腰をかけて気軽にお茶を楽しめる家。そして時折休暇で帰ってくる独立した子どもたちやその家族が気負わず楽しく滞在できる家。人が集うことによって生まれるコミュニケーションが日々の暮らしの潤いであり、そんな人とのつながりを気楽なものにする仕掛けがプランの柱となっている。例えばデッキや土間を使った外とのつながり。犬の散歩の途中でもデッキや土間の小上がりに腰を掛け気軽におしゃべりできる。そして旅館の一室のような二階のオープンスペース。そこは建具で仕切ってプライバシーを守る和の個室となり、１階のリビングには久しぶりに会う家族が心地よい距離感で語らう小さな居場所がちりばめられている。旅行や外食も楽しいけれど、日々を守る器に人が集えば人生はもっと豊かになる。平屋暮らしを叶えるコンパクトな動線で、ふだんの暮らしを一番の贅沢に仕立てる大人のための住空間だ。　……続きは誌面でどうぞ