発想は「家付きガレージ」。
木と土壁に、そよ風が通る家。

はっと目をひく大きな木のガレージ扉に、むっくりと温かな風合いの土壁。一日中、車といっしょでも飽き足らないというご主人と自然のものに心ひかれるという奥様の思いがいっしょになったとき、思いもよらなかったようなシンプルモダンな住まいが完成した。木の家の職人集団と、心地よい家づくりに取り組む建築家のコラボレーション。

きっかけはご主人の趣味。朝から晩まで車をさわっていたいというほど車いじりが好きというご主人が、整備用ガレージを持ちたいと思い立ち、それなら賃貸のアパートを出て家を建てようと思ったことが始まり。「だから我が家は“家付きのガレージ”。まず車ありきなんです」と奥様が説明してくれた。家づくりのパートナーを探すなかで、ふと目にとまったのは谷口工務店の「超大工集団」と書かれたチラシ。ご自身が技術者ということもあり、作り手が見える家がいいとご主人が考えた一方、奥様は同社が手掛ける「いやしろの家」に心ひかれたという。基礎に炭を用い、呼吸する健康住宅を実現するこの技術。説明を受けに足を運んだところ、同社と建築家・伊礼智氏とが手を結び、プロジェクトを進めている自然素材住宅の提案を受けた。思い経ったら即行動というお二人は翌週には東京にある伊礼氏の作品を見学に訪れ、そのデザインとコンセプトにほれ込んだのだとか。