設計に、素材に、冒険心あふれる提案

建物の形がまず印象的だ。斜めになった外壁が庭とテラスを囲んでいる。
室内に入ると、外とつながるLDKはもちろん、家の隅々まで光と風がめぐり、
ユニークな素材や設備が目を引く。設計や素材使いを果敢に攻めたモデルハウスだ。


　正面に立つと、鏡面の外壁材が目を引くスクエアな外観。裏側に回ると、まったく違う形が現れる。建物の両側から大小の三角形が腕を伸ばし、まるで組み合うように家を守っている。この形は、台形という変形の敷地と、眺めを最大限に取り込むというテーマから導かれた。
　モデルハウスを建てるにあたり、分譲地の一角、台形の敷地を選んだのには二つの理由があった。一つには、変形地だと、面白い設計アイデアが生まれるから。もう一つには、台形の斜辺と接する三角形の田んぼに今後、家は建てられないであろう、つまり家の中から眺めた時、田園から東山を望む広がりが遮られないだろうと予測したからだった。設計を担当した目黒誠さんは「最も重要だったのはレイアウト。プランにあたっては、眺望を生かすことが大前提になりました」と言う。ただし、左右に建つ住宅からの視線は遮りたい。そのために考え出されたのが、あの斜めの線と三角形の外壁だった。
　次なる課題は、室内に明るさを行き渡らせること。目黒さんは「陽の当たるところに、すべての部屋を持っていこう」と考え、開口部を「く」の字型に切ったＬＤＫは、土地にならった個性的な形に。脱衣室やランドリースペースも陽光の差し込む場所に置き、さらに２階の寝室も真南の線に添ってレイアウトした。こうして、昼間は最高に明るいのに、プライバシーは確保されるという、絶妙な環境が実現された。　……続きは誌面でどうぞ