色あせないデザインと住まい

10年前に建てたN邸。最近、外壁とキッチンの一部をリフォームしたのをきっかけにうかがった。時間を経ても色あせないデザインと、時間を経たからこそ生まれる風合いが融け合っていた。

　Nさんが家を建てたのは、ちょうど10年前のことだった。「建てるならハウスメーカー以外のところで」と、それだけは初めから決めていたという。夫婦してハウスメーカーに勤めていたが、思い通りの家をつくるには、ゼロから始めなくては無理だと分かっていたのだ。「それこそ、ドアの取っ手一つまで考え尽くして建てたかった」とは奥さま。そんな折、たまたま訪れた友人宅で、「これだ」というものに出合うことになる。直線をいかしたシンプルなデザイン、無垢の木を使い、細部にまでこだわった家づくり。「直感でいいなと思って、すぐに紹介していただいたんです」。それがスズキキヨヒサ建築事務所だった。早速、夫婦で、当時、事務所を兼ねていた鈴木清久さんのご自宅を訪ねた。「洗練されていると改めて思いました。シンプルだから飽きがこないだろうと思えましたし、カリンの床も素敵でした」と奥さまは振り返る。ただし「もう一社くらいはプランを見てみたい」と二社に依頼。それは結果として、鈴木さんへの揺るぎない信頼を形作ることとなった。「間取りがよかったのはもちろん、鈴木さんがとてもよく話を聞いてくださって、安心してお願いできると思ったんです」。
　打ち合わせが始まってから、奥さまは描きためていた間取り図を鈴木さんに見せた。「失礼とは思ったんですが、理想の形を伝えたくて」。結局、その中の一つのプランと似ていた鈴木さんのコの字型プランで、家づくりは始まった。　……続きは誌面でどうぞ