素材、構造のミックスが生む心地いい暮らし

「地震と水害に強い家」を目指して1階は鉄筋コンクリート造、2階、3階は木造としたK邸。RC、木、鉄、畳。構造も素材も硬軟を組み合わせて、安心に、心地よく仕上げられた。

　「次はモダンな家に住みたい」。奥さまと二人で暮らす家を建てるにあたって、ご主人の中には、ぼんやりとしたイメージがあったという。土地は閑静な住宅街。15年ほど前、建て替えるつもりで築54年の中古住宅を購入していた。「住みながら、住宅展示場や完成見学会を訪れていたんですが決め手に欠けて。単身赴任が終わったのをきっかけに再開しようと思ったけれど、きっかけがつかめずにいたんです」。そんな折、二人で散歩中、気になる家を見つけた。黒いガルバリウム鋼板の外壁の家。「いいな、と思っていたら、完成見学会の看板が立ったので、早速行ってみました」。それがITO建築設計事務所の手がけた家だった。入ってみると、2階のリビングは北向きながら明るく、二人して好印象を抱いたとか。「シンプルなところも気に入りました」とご主人が言えば「使いやすそうなキッチンも良かった」と奥さま。早速、設計した伊藤正紀さんに声をかけ、別の家も見せてもらうことになった。すると、たまたまこちらも2階リビングで、二人が求めていた屋根付きの駐車スペースもあり、具体的に求める形が決まったという。「階段を上り下りすることなくワンフロアで生活したいと思っていました。年をとればなおさらだろうと」。しかし、Kさんの土地は南向きで間口が狭い。しかも低くて、数年前には水害に遭ったことのあるエリアだった。そこで伊藤さんは、1階は鉄筋コンクリート造、2階と3階は木造の混構造とし、2階にリビングをはじめ生活を集約する間取りを提案した。　……続きは誌面でどうぞ