通り土間がつなぐ二世帯の暮らし

二世帯がのびやかに暮らしながら、いつも心が通じ合う。互いの生活スタイルへの尊重から生まれたこれからの住まいのかたち。

家族の距離感というのは、「のりしろ」に似ている。重なりが大きすぎるとどこか息苦しい。さりとて小さすぎると離れてしまうかもしれない。丁度よさの見極めが難しい。
だから家づくりのときも、「のりしろづくり」がうまくいくと、気持ちのいい暮らしができる。二世帯で住まう場合はなおさらだろう。
そんな役目をこの家では通り土間が担う。
玄関を入り向かって右が子世帯の、左が親世帯の空間だ。水周りも含めて二つの暮らしはそれぞれ独立している。ただし、両者によそよそしさは感じられない。分けながらつなぐという骨の折れる仕事を、土間が見事にこなしているからだ。
ある意味、通り土間とは「かよひぢ（通い路）」なのだ。人が行き来する。家族が互いを思い合う気持ちも行き来する。もちろん、風や光も通り抜ける。周りの自然やご近所さんとも通じ合う。
そうやって、いろんなものを通わせながら、それぞれにとってのいい関係をつくってゆく。土間サロンが好評の、工房信州の家らしい提案だ。