暮らしのなかで人をかたちづくる場所

子どもたちが1階にいても2階にいても、
家族一人ひとりの息づかいが互いに感じられるよう
回遊できる動線と吹き抜けを設けながら、
毎日の暮らしの中で礼儀や感謝や独立心を
自然に学べるように気を配る。
親子のあり方をまじめに考えた住まいができた。


　住まいづくりは、家族について考える、とりわけ親子のあり方についてじっくり考えるのにとてもいい機会だ。松本にある片桐建設の「信州の風」モデルハウスを見ると本当にそう思う。 　
　たとえば、子どもたちの声や足音などの気配がいつも感じられること、反対に親の気配が子どもに伝わることで子どもが安心できること、これは大きなポイントだろう。
「信州の風」では、階段を中心に置いて回遊できる動線を設けた。 　
　玄関を入って真っ直ぐ進むとキッチン、その奥がダイニング、左に折れたところに薪ストーブのコーナー、さらに先は独立したリビング。リビング背後の廊下を行くと、１階をぐるり一回りする。ダイニングとリビングを離したことで、食事の後にはよりくつろげるし、生活のリズムにメリハリも生まれる。しかも全体がバリアフリーでつながっているから空間に一体感がある。階段が真ん中にあることで、来客の視線を自然にさえぎることができるのもいい。 　
　2階も各部屋は独立しながら、階段周りの廊下、バルコニーを通してやはり回遊できる動線になっている。1階とは薪ストーブの煙突が伸びる吹き抜けで通じ合い、上の階と下の階でちゃんとコミュニケーションをとることも可能だ。