ちいさな空間だから叶う、
四隅に満足が届く家。

最小の空間で最大限の豊かさを—。リアスタイルがめざしたのは、「小は大を兼ねる」という逆発想。広さは豊かさであるという考えは、この家では、まるで無意味に感じられる。

ほとんどの場合、住まいづくりに予算はつきものだが、それをどう使うかで完成度は変わる。たとえば、同じ予算で大きく建てるか、コンパクトにまとめるか。家が大きければ建築コストはもちろん、固定資産税や光熱費もアップする。一方で、必要最小限の面積に抑えることで、自然素材や造作家具などにお金をかけることができる。大切なのは、どう暮らしたいか。
家は大きい方がいいというのは、ほんとうだろうか？リビングは南向き、個室はとりあえず多い方がいいという発想も、まず疑ってみる必要がある。空間の大小に関わらず、快適に暮らすことは可能なのだ。そう考えるリアスタイルはこれまでの経験を積み上げ、この家に信念を込めた。
小川のほとりにある40坪ほどの敷地は道路から奥に向かって細長く、その形状に従うように建物も玄関から奥に長くつくられている。1階の床面積は15坪弱と、リアスタイルの住宅では比較的コンパクトなサイズ。しかし、ゆったりとした土間玄関から室内に入ったときの印象は「なんて広々とした、さわやかな空間なのだろう」。
足元から天井まで届く開口部や吹き抜けはもちろん、スケルトンの階段、遮るものがなく連続する空間、そして、上質な素材感。そのすべてが体感的な広さを創出し、単に何坪という数字では語ることのできない精神的な満足を生み出しているのである。