防風林を借景に、「つながり」を楽しむ暮らし。

　住まいと並行するように全長８kmにわたって続くポプラ並木は、札幌市の文化遺産にも指定されている防風林だ。大正時代、季節風から農作物を守るために植林されたのがはじまりで、いまでは多彩な植生と親しみながらウォーキングが楽しめる市民憩いの場となっている。
　この家のオーナーNさんご夫婦は、当初、利便性を優先させて地下鉄近辺の土地を探していた。それを承知でリアスタイルは「こんな場所もある」と紹介したところ、予想通りあまり興味のなさそうな反応が返ってきた。しかし、翌日にはご夫婦の気が変わり土地の購入を決断。奥さまはかつて富良野に住んだ経験があり、自然とともに暮らす豊かな気分をありありと思い出したのだという。「家を建てるなら、美しい風景のそばで」。多忙な日常で忘れかけていた夢を、防風林が呼び覚ましたのである。
　春には桜がピンクの帯となって広がり、夏は鮮やかなグリーンベルトが視界いっぱいに。四季折々に異なる景観をいかに取り入れるかが、住まいづくりのテーマとなった。